品質管理・技術開発を支える分析
1.分析基盤技術の強化
乾式試金分析法
還元剤として鉄釘、小麦粉などを用い、高温で試料に含まれる金銀等の貴金属を鉛に吸収させます。この鉛を灰吹と呼ばれる操作で骨灰中に染み込ませ、貴金属だけを取り出し、秤量する方法です。
2.高感度分析技術の開発
ICP-OES(誘導結合プラズマ発光分光分析装置)、ICP-MS(誘導結合プラズマ質量分析装置)、フレームレス原子吸光分析装置、GD-MS(グロー放電質量分析装置)、GC-MS(ガスクロマトグラフ質量分析装置)などの機器を駆使し、ppmレベル以下の感度で通常分析を行っています。また超高感度でありながら、妨害の少ないICP-MS分析方を開発し、品質管理に役立てています。


ICP-MS法への取組み -微量分析の迅速化への対応-
ICP-MS法は超高感度で、多元素同時分析が可能である。しかしながら、装置に導入できる総塩濃度が最大で0.1%(一般的には0.01%程度)といわれている。そのため、試料を溶液化するとともに何らかの形で主成分と目的定量元素とを分離することが必要となっていた。この分離操作は、煩雑で時間がかかるため、研究・開発において迅速な分析に対応しし難い意という課題があった。そこで、ICP-MS法の持つ高感度な検出技術を最大限に引出し、試料前処理において分離技術を必要としない迅速分析法について検討した。
その結果、図1に示すコリジョン・リアクション・インターフェース(以下,CRIと略す。)のサンプリングコーン及びスキマーコーンに設けられた反応ガス注入部分から、ヘリウムガス又は水素ガスをプラズマへ導入することで、分子イオンを衝突及び反応により低減させることが可能になった。
一般的な測定条件(高感度測定条件)では、図2に示すように 塩(ここでは塩化ナトリウム)の共存により感度が低下する。しかし、CRIを用いる方法では図3に示すように塩化ナトリウムの影響が抑制されて塩化ナトリウムが無いときとほぼ検量線が一致することが分かる。


3.表面・界面・物質内部の解析
SEM, XPS, AES, EPMA, で表面の観察・分析をするだけでなく、XRD, TEM によって物質内部の解析まで行なっています。FIB, クロスセクション・ポリッシャー(CP)なども駆使してあらゆる角度から物質を総合的に分析することで、新規材料の開発を強力にサポートしています。また、めっき界面の分析、剥離メカニズムの解析など、実用的な分野で大いに活躍しています。
- SEM
- 当センターの SEM は開発センターの研究者に開放されています。EDX も利用可能なため、主に、試作品の迅速な評価、本格的な分析が必要かどうかの判断に用いられています。最近、データをデジタルで取得できるオプションを導入し、さらに便利になりました。
- XPS
- 元素の特定だけでなく価数情報まで取得できる、唯一の表面分析装置です。通常、数百μmφの平均的な情報を取得しますので異物解析には向きませんが、表面から数 nm という最表面の情報が取得可能で、Ar+ のスパッタリングによる深さ方向分析もよく使われます。当センターでは、半導体の表面分析からめっき構造の確認、防錆効果の確認など、幅広く用いられています。
- AES
- フィールドエミッションタイプの電子銃によって、30 万倍までの SEM、数万倍までの元素分析および元素マッピングが可能です。XPS と同等の(あるいはそれよりさらに)最表面の情報を取得できるため、薄膜化が進む最新デバイスの分析に、なくてはならない装置です。
- EPMA
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EPMA ( EBSP )こちらも、フィールドエミッションタイプの電子銃を使っています。AESと同等の解像度で元素分析、元素マッピングが可能です。検出信号が 1μ m と深いため、表面汚染に強く、C,Ptを薄くコーティングすれば絶縁試料の観察、分析も可能です。相関分析によって、化合比率の違う同系列化合物を識別し、再マッピングさせることも可能です。また、電子線後方散乱図形解析装置(EBSP)を使用すれば、結晶に当たって跳ね返る電子が持つ結晶の内部情報から、結晶の配向やその境界の状態を解析します。 - XRD
- RIGAKUのRINT-2100という一般的な装置ですが、最近、パソコンから装置の全制御が可能になったため、センターの研究者に開放されました。ピーク解析のための膨大なデータベースは全てデジタル化されており、ソフトウェアから簡単に検索できます。
- TEM
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TEM電子銃は LaB6 ですが、加速電圧は 300kV で、50 万倍を超える倍率での観察、EDX によるサブミクロンでの分析が可能です。これまで大変だった試料の薄片化も FIB で簡単になりましたので、結晶粒、析出物の観察など、急激に需要が高まりました。 - FIB, CP
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FIB上記の各装置は、表面から観察するものがほとんどですので、 FIB, CP によって、サンプルの加工を行なうことで、断面方向からの観察、分析を可能にしています。特に、FIBには二次電子の検出器も備えており、少しずつ削りながら観察した SEM 像を重ねることにより、サンプルの 3 次元的な投影が可能になりました。
