ニュースリリース

2023年度

2023年6月30日

JX金属株式会社

株式会社Gaianixxと革新的な半導体形成技術の社会実装に向けた協業を開始
- 結晶材料事業の新展開に向けて、東京大学発スタートアップとの連携を推進 -

 JX金属株式会社(社長:林陽一、以下「当社」)は株式会社Gaianixx(代表取締役社長: 中尾 健人, 以下「Gaianixx社」) が第三者割当増資で発行する株式を3億円で取得いたしました。

 

 今日においてはデータ社会や脱炭素化の進展をけん引する革新的なデバイスの登場や普及が期待されています。そのためにはセンシング技術や通信の高度化を支える圧電素子や、電気自動車などの電源系統に変革をもたらすパワー半導体などの半導体素子の進化が欠かせません。これら半導体素子には単結晶基板上に機能性薄膜を積層した(※1)結晶材料が用いられていますが、半導体素子のさらなる高性能化・高付加価値化に向けては、単結晶基板と機能性薄膜の間に発生するひずみの解消が課題となっています。

 

 Gaianixx社はこの課題に対し、独自技術である多能性®中間膜による解決を目指しております(※2)。多能性®中間膜は、単結晶基板と機能性薄膜の材料の組み合わせを問わず、任意の変形を繰り返すことでひずみを解消できるため、より良質な機能性薄膜の積層が可能になります。これは半導体素子形成技術におけるブレイクスルーであり、当技術が実用化されることにより、半導体素子の性能・信頼性・歩留まりが革新的に進化するものと考えています。

 

 今回の出資を機にGaianixx社とは、機能性薄膜に用いられるスパッタリングターゲットや高純度金属などの材料や、積層結晶材料の共同開発を行っていく予定です。さらには、当社がグローバルワイドで保有している半導体業界における幅広いネットワークを活用し、Gaianixx社の有する革新的な技術・製品の産業ベースでの実用化に向けた取り組みを推進する予定です。これらを通じ、当社が規模拡大を推進している結晶材料事業の新展開へと繋げてまいります。

 

 今後も当社は、パートナーとの共創による製品・技術開発に積極的に取り組み、革新的な電子デバイスに不可欠な先端材料の提案・提供を通じて、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

 

以 上

 

(※1)機能性薄膜の形成には様々な手法が用いられていますが、昨今はスパッタリング法による積層の研究開発も盛んに行われています。スパッタリングの詳細はこちらをご参照ください。

(※2)一般的な結晶材料とGaianixx社の技術を用いた結晶材料の違いについて

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(参考)Gaianixx社について (2023年5月31日現在)

会社名 株式会社Gaianixx
設立 2021年11月
所在地 東京大学 南研究棟 アントレプレナーラボ
資本金 100,000,000円
事業内容 多能性®中間膜及びエピタキシャル成長に関する研究開発ならびにこれら技術を用いた製品の製造・販売
企業HP https://gaianixx.com/