ニュースリリース

2023年度

2023年7月26日

産総研との共同研究を通じてプリンテッドエレクトロニクスの社会実装を加速

 JX金属株式会社(社長:林 陽一、以下「当社」)は、国立研究開発法人産業技術総合研究所(理事長:石村 和彦、以下「産総研」)との共同研究(※1)を通じ、プリンテッドエレクトロニクス(以下「PE」)を用いた次世代デバイス向けの微細配線形成の技術開発を推進しています。このたび、スクリーンオフセット印刷法(※2)では世界最細レベルとなる線幅 6 µmの銅の微細配線形成を達成したことを受け、展示会での参考出展(※3)を皮切りに、社会実装に向けてマーケティング活動を本格化することといたしました。

 

 PEは、導電性材料などを分散させたインクを樹脂フィルムやガラス基板上に印刷することによって配線を形成する技術です。PEは、従来の銅箔のエッチング法による配線形成よりも微細化が可能と言われており、スマートフォンやウェアラブルデバイス等のさらなる小型化・薄型化への貢献が期待されています。加えて、従来のエッチング法に比べ製造工程の簡素化が見込めるとともに、必要な分だけ印刷して配線を形成するため、エネルギー・材料の消費量削減に貢献できます。このたび、当社の銅微粉を用いた銅インク材料技術と産総研の印刷技術を融合することで銅の微細配線形成を可能としました。今後は、さらなる微細線化や量産技術確立および工程最適化を進めるとともに、展示会等におけるお客さまとの対話を通じてニーズを収集し、様々な用途探索を進めてまいります。

 

 今後も当社グループは、パートナーとの共創による製品開発に積極的に取り組み、成長戦略の確実な実行をグループ一丸となって推進し、先端素材のグローバルリーダーとして持続可能な社会の発展と革新に貢献してまいります。

 

以 上

 

 <参考資料>

 

当社が作製した銅インク

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本共同研究を通じて得られた成果事例(樹脂フィルム上に印刷した銅微細配線)

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左:L/S = 6/14 µm1), 右:L/S = 15/15 µm

※L/S ラインアンドスペースの略。回路線幅と回路間隔のこと。

1) 出典 Y. Kasashima et al., Jpn. J. Appl. Phys. 61, SE1001 (2022)  

 

(※1)当社と産総研の共同研究詳細については以下をご覧ください。

   2021 年11 月 1 日付プレスリリース「JX金属-産総研 未来社会創造 素材・技術連携研究ラボ」を設立

 

(※2)スクリーンオフセット印刷法2)

   導電性インクを転写体にスクリーン印刷し、その後転写体に印刷した導電性インクを基板へ転写形成する方法。
   工程が簡便かつ大面積化が容易で、印刷速度が速いことが特徴です。
   導電性インク中の溶剤をシリコーンゴム転写体が吸収するため、導電性インクの滲みを抑制し微細配線を印刷することが可能です。

 

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2) 出典 K. Nomura et al., Microelectron. Eng. 197, 23 (2018), etc.

 

(※3)TECHNO-FRONTIER 2023(会期7月26日~28日、開催地 東京ビッグサイト)に参考出展いたします。
   TECHNO-FRONTIER 2023 公式ウェブサイトはこちらをご覧ください。
   展示会情報詳細はこちらをご覧ください。