ニュースリリース

2019年度

2020年2月 7日

JX金属株式会社

車載用リチウムイオン電池リサイクルのためのベンチスケール設備の稼働開始について

――クローズドループ・リサイクルの実現に向けて――

 JX金属株式会社(社長:村山誠一、以下「当社」)は、このたび、車載用リチウムイオン電池リサイクルのためのベンチスケール設備(※)を日立事業所(茨城県日立市)内に設置し、稼働を開始いたしました。今後到来が予見される使用済み車載用リチウムイオン電池の大量発生時代に備え、使用済み電池に含まれるレアメタルを再び車載用電池の原料として使用する「クローズドループ・リサイクル」の実現に向けた技術開発を加速してまいります。

 近年、世界的な環境意識の高まりを受け、電気自動車など環境負荷が小さい次世代自動車の急速な普及が進んでおりますが、こうした自動車の多くにはリチウムイオン電池を使用されるため、その正極材原料となるコバルト、ニッケル、リチウムなどレアメタルの需要は増大することが見込まれます。一方で、この先5年から10年を目途に、使用済みとなった車載用リチウムイオン電池の大量発生が見込まれており、使用済み電池からのレアメタル回収は、資源の有効活用、資源の安定確保の両面から、重要な課題となっています。

 

 当社では既に敦賀工場(福井県敦賀市)において、民生用リチウムイオン電池のリサイクル実証試験を国内最大規模で行っており、廃正極材ではなく廃電池そのものからでもレアメタルを回収できる技術を有しています。次のステップとして、本技術を基に、車載用リチウムイオン電池にフォーカスしたクローズドループ・リサイクルの技術開発を進めるべく、日立事業所内にベンチスケール設備を建設し、このたび稼働を開始いたしました。

 この設備では、自動車メーカーや電池メーカー各社からご提供いただいた原料を元にリサイクル品サンプルを生産し、適切なコストでの処理が可能な量産プロセスを確立することを目的としています。液、塩、メタルなど、さまざまな形状の作り込みができる自由度の高い設計となっている点が特徴で、コバルト、ニッケル、リチウムを金属ごとに分離し、電池グレードの品質で回収することが可能です。

 車載用リチウムイオン電池のリサイクルを本格的に根付かせていくためには、回収や解体も含めた社会的なスキームが不可欠です。当社は、本リサイクル技術を確立させることにより、このスキームの構築に積極的に参画し、その実現に向けた動きをより一層加速してまいります。

 

 これからも当社は、時代の要請に応え、貴重な非鉄金属資源リサイクルの取り組みを推進し、資源循環型社会の実現に貢献してまいります。

以 上

 

(※)ベンチスケール設備:連続型小型試験装置のこと。

 

<参考資料(写真)>

 

◆ベンチスケール設備

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◆回収したレアメタル

【塩】

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炭酸リチウム
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硫酸コバルト
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硫酸ニッケル

 

【液】

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硫酸ニッケル
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硫酸コバルト