ニュースリリース

2020年度

2020年11月24日

JX金属株式会社

高機能銅合金および圧延銅箔のサンプル出荷開始について ―チタン銅、コルソン合金、リチウムイオン電池向け圧延銅箔の新製品を開発―

 JX金属株式会社(社長:村山誠一、以下「当社」)は、長年にわたる溶解鋳造・圧延・熱処理・スリットまでの一貫生産で培った技術や合金開発のノウハウを活かし、新たに以下の高機能銅合金および圧延銅箔を開発し、サンプル出荷を開始しました。

 

1. 超高強度チタン銅 「C1995」

 スマートフォンのカメラモジュールのばね材には、高強度な銅合金であるチタン銅が採用されております。また昨今はカメラ機能の高性能化の一環で、搭載されるレンズの大型化が進んでおり、ばね材には従来に増して高い強度が求められるようになってきております。このたび当社は、こうしたニーズを満たす銅合金最高レベルとなる1,500メガパスカルの引張強度を持つ、超高強度のチタン銅「C1995」を開発いたしました。(図1)

 

2. 強度と導電率を高い次元で両立させたコルソン合金 「NKC8738」

 昨今のCPUの演算性能向上に伴い、CPUソケットの接点はますます狭ピッチ化と通電量の増加が進行しており、当用途に用いられるコルソン合金(※)には従来に増して強度と導電率の両立が求められています。当社がこのたび開発したコルソン合金「NKC8738」は、コルソン合金では最高レベルとなる引張強度1,000メガパスカルと高い導電性(40%IACS)の両方を兼ね備えたCPUソケット用の高性能銅合金です。(図1)こうした高い性能から、CPUソケットの他、高性能化が進むスマートフォンなどに使用されるマイクロコネクタにも、ご採用いただけるものと考えております。

 

3. 高い耐熱性を持つリチウムイオン電池向け圧延銅箔

 足下、ドローンやウェアラブル端末などの電子機器に搭載されるリチウムイオン電池の高出力化に向けた技術開発が活発に進められています。電池の出力密度を向上させるための負極活物質を塗工する際、高温・長時間の熱処理を行う必要があり、負極集電体に用いられる銅箔には高い耐熱性が求められます。このたび当社は、これら熱処理にも耐えられる圧延銅箔を新たに開発いたしました。(図2)本製品によって、様々な電子機器の出力向上や稼働時間の延長に寄与できるものと考えております。

 

 これらの新製品は、12月2日(水)~4日(金)に幕張メッセで開催される「第7 回高機能金属展」で展示いたします。当社は今後も、お客様のご要望にお応えする製品をタイムリーに開発・供給することで、データ社会の発展に積極的に貢献してまいります。

 

以 上

※銅にニッケルおよびシリコンなどを添加した銅合金

 

参考資料:

図1:当社主要銅合金と新製品 (C1995, NKC8738) の位置付け

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図2:リチウムイオン電池向け銅箔の耐熱特性比較

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