ニュースリリース

2023年度

2023年10月10日

JX金属株式会社
パンパシフィック・カッパー株式会社
飯野海運株式会社

バイオディーゼル燃料を利用した銅スラグの海上輸送に関する実証試験について

 JX金属株式会社(代表取締役社長:林 陽一、以下「JX金属」)のグループ会社であるパンパシフィック・カッパー株式会社(代表取締役社長:堀 一浩、以下「PPC」)と飯野海運株式会社(代表取締役社長:大谷 祐介、以下「飯野海運」)は、国内非鉄金属業界では初となるバイオディーゼル燃料※1を利用した銅スラグ※2の海上輸送に関する実証試験を行い、予定通り9月10日に航海を完了しました。本航海では、PPCが取り扱う銅スラグを日本国内の製錬所からマレーシアまで、飯野海運が運航する貨物船「Bright Hope」に積載し、廃食油や再生可能油脂から精製されたバイオディーゼル燃料を用いて輸送しました。このバイオディーゼル燃料の使用は、Well to Wake"生産井から航海まで" ※3において発生する温室効果ガス排出量削減に寄与します。

 

貨物船「Bright Hope」

 

 JX金属グループは、先端素材の製造・開発から製錬・リサイクル・資源開発に至るまで、銅・レアメタルを中心とした非鉄金属事業を総合的に展開しています。2050年度にCO₂自社排出量をネットゼロとする目標を掲げておりますが、これにとどまらず、原料生産・物流も含めたサプライチェーン全体でのCO2排出量削減を目指す、いわゆる「Scope3」削減への対応も積極的に進めています。

 

 飯野海運グループは、資源・エネルギー輸送を主力とする海運業と、オフィスビル賃貸を主力とする不動産業を両輪とした事業を展開し、中期経営計画「The Adventure to Our Sustainable Future」において、気候変動をはじめとするサステナビリティへの取組みを強化しています。海運業においては、2030年までにトンマイル当たりの温室効果ガス排出量を2020年度比20%削減、不動産業においては、温室効果ガスの排出総量を2013年度比75%削減する目標を掲げており、2050年までに全社でカーボンニュートラルを達成すべく革新的な技術への投資を積極的に進めています。

 

 今般の取り組みは、脱炭素社会の実現に向けて共通したビジョンを有する両社が、クリーンな船舶燃料を用いた海上輸送の実現可能性を検証したものです。今後両社は、このたびの実証試験の成功を踏まえ、クリーンな船舶燃料の本格利用に向けたより具体的な検討や、スラグに限らず銅製錬に関連するさまざまな製品の海上輸送時のCO2削減策について、積極的に議論していきます。

 

※1今回の実証実験では国際持続可能性カーボン認証(ISCC:International Sustainability & Carbon Certification)を受けたバイオディーゼル燃料であるFAME(脂肪酸メチルエステル)を約24%、低硫黄重油(VLSFO)に混合したものを使用しました。

 

※2銅を製錬する過程で発生する副産物であり、CO2負荷が低く、セメント用原料やサンドブラスト材料として再資源化されています。

 

※3 燃料の生産・輸送・船舶での使用に至るまでの過程を意味し、燃料消費サイクルの全体で生じた排出量を指します。